側弯症は背骨が側方や後方にねじれる様に変形する疾患です。側弯症は乳幼児期や思春期の側弯症から高齢者の成人脊柱変形まで、全世代に渡って発症し、生活の質を低下させます。
側弯症が重度に進行すると、腰背部痛、肺活量の低下、消化器症状、神経障害などを引き起こし、日常生活に大きな障害を来すようになります。この側弯症は様々な全身に及ぶ原因を基盤に発症し、難易度の高い治療を必要とする患者さんが多くあります。そのため従来、側弯症診療は整形外科を中心に行ってきましたが、安心で安全な診療、そして最先端で高度な医療を提供するため、側弯症診療センターを設立し、多科の先生方と連携しながら診療を進めております。
当センターでは、整形外科、小児科、麻酔科、小児外科、リハビリテーション科、臨床遺伝センター、放射線科の複数科による情報共有と連携に基づいて、集学的かつ高度な側弯症診療の提供を目指します。さらに先端的な基礎研究に基づいた診断方法、最新の画像解析、そして最先端の治療技術の導入を進め、最高峰の治療センターを目指します。側弯症でお困りの場合は、是非、側弯症診療センターにご相談ください。
早期発症側弯症
早期発症側弯症とは9歳以下で発症する側弯症です。先天的な椎体変形が原因の先天性側弯症、神経や筋の異常や臓器の異常を伴う症候群性側弯症、神経線維腫症に伴う側弯症など多くの病態があり、治療においては小児科、小児外科、臨床遺伝学センター、リハビリテーション科、麻酔科との密な情報共有と連携が重要です。早期に疾患を診断し、装具療法、ギプス治療などの保存治療を行い、側弯症の進行予防を目指します。手術が必要なぐらいに進行した場合は、Growing Rod 法、Vepter 法等で側弯症の矯正だけでなく、脊柱の成長を目指す成長温存手術を行います。小児科集中治療室での周術期の管理をふくめ、小児科や麻酔科と連携して安全な治療を行っています。
思春期特発性側弯症
思春期側弯症の発生頻度は中学生の女児で1 – 2%と高く、特に女子に多くみられる疾患です。思春期特発性側弯症は学校検診で見つかることが多いため、その二次検診、三次検診としての受け入れも行っております。 思春期特発性側弯症の進行には年齢、家族歴、骨成熟の程度、側弯の大きさ(コブ角)、椎体の回旋など様々な因子が影響しますので、これらの情報を基に治療を行います。
患者さんやご家族に病気の自然経過や治療目的などの啓蒙を積極的に行い、装具着用の自己中断がないように遵守率の向上を目指しています。装具治療を行っても側弯症の進行が抑えられない場合、手術を行います。手術には椎弓根スクリューを用いた後方矯正固定術を行っています。重度の側弯症の場合は、前方手術や骨切り手術を併用する場合もあります。そして手術の際には、自己血を用いて他家血輸血を予防、脊髄モニタリングを用いて神経損傷を予防、また術後創部感染予防のプロトコールを用い、安全で効果的な手術を心掛けております。術後には麻酔科による疼痛コントロールを行い早期の離床をはかり、リハビリテーション科の協力により早期の機能回復と、早期の退院を目指しております。
成人脊柱変形
近年の高齢社会を背景に、成人の脊柱変形も大きな課題となっています。高齢の方では骨粗鬆症やフレイル(虚弱)を合併していることが多く、さらに身体機能だけでなく心肺機能が低下している場合が多く、治療に難渋します。治療にはペインクリニック(麻酔科)、骨粗鬆症外来(整形外科)との協力により、疼痛コントロール、骨粗鬆症の治療を行い日常生活動作の改善を目指します。変形の程度が重度で、疼痛コントロールが不良な場合、矯正固定術を行います。手術では椎弓根スクリューを中心とした脊椎インプラントを使用しますが、骨粗鬆症が重度な場合はテープやフックといったインプラント、変形の程度によっては LIF という前方からの手術を併用して理想的な矯正を獲得しております。高侵襲な手術になるため、リハビリテーション科による綿密な計画によるリハビリを行っております。
当診療班では豊富な手術の実績数と経験を活かして側弯症を専門とする医師が治療と手術にあたっております。
年間の手術件数
| 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 |
| 186 | 265 | 249 | 223 |
年間の手術件数
| 2017年 | 263 |
| 2018年 | 265 |
| 2019年 | 211 |
| 2020年 | 186 |
| 2021年 | 265 |