脊髄は一度損傷すると再生は困難と言われてきました。しかし私たちは、iPS 細胞から誘導した神経幹細胞を移植することで運動機能に改善が見られることを、動物を使った実験で証明してきました。この研究成果をもとに、2020年より実際の患者さんに細胞を移植する臨床研究を開始しました。また細胞移植以外にも、肝細胞増殖因子(HGF)を急性期損傷に投与する治験や、慢性期の患者さんにロボットスーツ HAL を用いたトレッドミル訓練を施行するリハビリテーションも行い、一定の効果を得ています。
ただしこれらはまだ研究あるいは治験の段階であり、一般的な治療レベルには達していません。今後幅広く患者さんに治療ができるよう、現在も研究を続けています。
脊髄再生医療の研究は、当診療班が世界をリードする最重要領域の一つです。iPS細胞を用いた神経幹細胞移植の臨床研究をはじめ、薬物療法(HGF)やロボット技術(HAL)を組み合わせた複合的なアプローチにより、これまで「再生困難」とされてきた脊髄損傷の治療に新たな光を灯し続けています。
私たちのチームは、基礎研究から実際の臨床現場(治験・臨床研究)までを一貫して担う専門医で構成されており、最新の知見に基づいた安全かつ高度な治療の提供に努めています。現在はまだ研究段階のものも多くございますが、一日も早く多くの患者様に標準治療としてお届けできるよう、患者様お一人おひとりの可能性を信じ、日々全力で研究と診療に邁進しております。